好奇心を超えて:科学の成功を支えるものとは?— サマンサ・モリス博士(Dr. Samantha Morris)との対談

「不屈の精神は、科学者にとって不可欠な力です。“ノー”と言われても決して諦めてはいけません。」– サマンサ・モリス博士

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科学者たちが口をそろえて語る「好奇心」

僕たちは、これまでさまざまな科学者にインタビューをしてきましたが、その中で共通して浮かび上がってきたテーマがあります。それは 「好奇心」 です。

どの研究者も、仕事に対する情熱を語るとき、必ずと言っていいほど「好奇心」が原動力だと話してくれます。まるで生まれつき科学者になることが運命だったかのように。インタビューをしていると、彼らの好奇心は、生まれ持った性質のように聞こえます。

そして、ふと考えました。「好奇心は生まれつきのものなのか? それとも、育てられるものなのか?」皆さんはどう思いますか?

この疑問がずっと頭の中に残っていたので、次のインタビューでぜひ聞いてみたいと思いました。今回、お話を伺ったのは、ハーバード大学医学部准教授のサマンサ・モリス博士です。博士は、発生生物学を専門とし、再生医療の最前線で研究をされています。好奇心について伺うには、まさにぴったりの人物だと思いました。

みなさんも気になりますよね?それでは、博士のキャリアと研究内容を見ていきましょう!

生化学から発生生物学へ:モリス博士のキャリア

現在、ハーバード大学の准教授を務めるモリス博士ですが、博士の科学者としての旅路はイギリスで始まりました。博士のキャリア転機をいくつか紹介します。

✍️ 幼い頃から、生物学に興味を持つ。
✍️ 高校時代、尊敬する先生が大学で生化学を専攻していたことを知り、それをきっかけに生化学に興味を持つようになる。
✍️ インペリアル・カレッジ・ロンドンで生化学を学び、その後ケンブリッジ大学で博士号を取得。
✍️ 博士号取得後は、ロンドンボストンで研究を行い、発生生物学から細胞の再プログラム化へと研究の幅を広げる。
✍️ 現在は、ハーバード大学医学部とブリガム・アンド・ウィメンズ病院の准教授として活躍中。

好奇心は生まれつきか、それとも育てられるのか?

僕はモリス博士に、「好奇心は生まれ持ったものですか? それとも学ぶことができますか?」と質問してみました。

💡 博士の答えは、「学ぶことができる」でした。

モリス博士は、博士課程の学生だった頃のご自身の経験をシェアしてくれました。

大学院生になり、研究を始めたばかりの頃は、どのように質問すればよいのかさえ分からなかったそうです。「意味のある質問」とは何か、「どうやって適切な研究の方向性を見つけるのか」そうしたさまざまな疑問にぶつかりながら、博士は、試行錯誤を繰り返したそうです。

研究を始めてから最初の2年間は手探り状態でしたが、3年目に入ると研究のコツをつかみ始め、重要なデータを生み出せるようになったそうです。

このご自身の経験から、モリス博士は 「好奇心は鍛えることができるスキル」と確信したそうです。

科学者に最も必要な資質とは?

次に、「科学者にとって最も大切な資質は何だと思いますか?」と尋ねると、モリス博士は「不屈の精神(Persistence)」と回答し、それも即答でした。

💡 まずは失敗すること。そして“思いっきり”失敗すること。

と博士は、よくご自身の研究室の学生にアドバイスされるそうです。研究では、失敗はつきものです。ですが、若い科学者―特に学生にとって―は、実験の失敗や仮説が崩れることを大きな挫折のように感じやすい、と博士は言います。そうした際にも、「不屈の精神」があれば、失敗にめげず、諦めず、挑戦を続けることができます。

💡 「重要なのは、失敗してもそれを乗り越え、研究を続けられるかどうか。成功する科学者は、決して途中で諦めない人たちです。」

モリス博士の研究:再生医療のための細胞の再プログラミング

強い「好奇心」と「不屈の精神」を持つモリス博士が、現在どのような研究テーマに取り組んでいるのかを、僕たちはぜひ知りたいと思いました。

以前に、僕たちがワシントン大学の幹細胞研究者であるジェフリー・ミルマン博士をインタビューしたことを皆さん覚えていますか?ミルマン博士の研究グループは、主に、成熟した細胞を多能性幹細胞の状態まで戻し、そこから特定の細胞へと分化させるという、幹細胞ベースの手法を使って研究しています。

一方、モリス博士の研究グループは、ちょっと違うアプローチを研究しています。博士は、成熟した細胞を多能性の状態に戻すのではなく、より直接的な方法で細胞を変換することに取り組んでいます。

つまり、細胞を初期胚の状態にリセットするのではなく、ある成熟細胞を別の成熟細胞へと直接変換するというものです。この方法を博士は「直接変換(ダイレクト・コンバージョン)」と呼んでいます。この方法は、再生医療の効率性と信頼性を向上させる可能性があります。そして、この手法を開発することにより、損傷した組織を置き換える機能的な細胞を作り出したり、疾患研究のモデルとして活用したりすることを目指しています。

とても夢のある研究ですが、「直接変換」には課題もあります。最大の課題の一つは、再プログラムされた細胞が、目標とする細胞の特性を完全に獲得できるかどうかという点です。モリス博士の研究では、このプロセスを改良して、変換された細胞の一貫性と機能性を向上させることに重点を置いています。

AIが発生生物学に与える影響

僕たちは、AIとその社会への影響に興味があるので、モリス博士にAIが再生医療の研究にどのような影響を与えているかについても聞いてみました。

💡 AIは私たちの研究に大きな影響を与えている

と、博士はお話しになっていました。過去10年で、科学者たちはシングルセル・ゲノミクスを活用して、膨大なデータを蓄積していますが、そのデータをどう分析し、新たな発見に結びつけるのかが大きな課題となっているそうです。そうした中でのAIのインパクトはとても大きいそうです。

💡 AIが生物学に革命を起こしている

と博士は言います。モリス博士の研究チームは、機械学習(ML)(※AI1分野)を活用して、細胞のアイデンティティがどのように変化するかを予測するプラットフォームを開発しました。 これはまだ発展途上の研究ということですが、博士はAIがこの分野の予測精度を大幅に向上させる可能性があると考えているそうです。今後の展開がとても楽しみです。

もし高校生に戻れるなら?

最後に、「もし高校生の頃に戻れるとしたら、何を変えたいですか?」と聞いてみました。

モリス博士が挙げたのは、次の2つでした。

プログラミングをもっと早く学んでおけばよかった。
博士は、独学でプログラミングを学んだそうですが、もしも、高校時代に習得していたら、より多くのチャンスをつかめただろう、と感じているそうです。

ビジネスの知識をもっと早く身につけておけばよかった。
科学だけでなく、組織運営やビジネスの基礎を理解することが、研究者としてもリーダーとしても重要だと語っていました。

おわりに

このインタビューを通じて、モリス博士はまさに「好奇心」と「不屈の精神」の大切さを体現されている方だと感じました。そしてこの対談から、以下のことが印象に残りました。

🔹 好奇心は育てることができる
🔹 不屈の精神があれば、失敗を乗り越えられる
🔹 AIは生物学の未来を変えていく

モリス博士は、僕たちがインタビューした科学者の中でも、母国を離れ、アメリカでキャリアを築いた研究者の1人です。同じような道を歩んだ他の研究者にも興味がある方は、ワシントン大学のバイオメディカルエンジニア専門のホン・チェン博士や、ボストン大学のサマグヤ・バンスコタ博士へのインタビューもぜひ読んでみてください。

サイエンスに興味がある読者の皆さん!好奇心を持ち続け、質問し続け、そして失敗を恐れないで進んでいきましょう!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
トーマス

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