サマグヤ・バンスコタ博士インタビュー:道を拓き、夢を叶える

今回ご紹介するのは、ボストン大学バイオメディカルエンジニアリング学部の助教授、サマグヤ・バンスコタ博士(Dr. Samagya Banskota)へのインタビューです。博士は2022年、科学雑誌「MITテクノロジーレビュー」の“35歳未満の注目のイノベーター”に選ばれ、医療分野で注目を集める研究を行っています。

今年の春にボストン大学を訪ねた際、博士の研究室を案内していただきました。研究室の窓からはチャールズ川を一望でき、その素晴らしい景色が印象的でした。ラボ見学では、博士が難しい研究内容をわかりやすく丁寧に説明してくださり、僕たちは博士の研究への情熱に感動し、ラボ見学後もなかなか興奮が冷めなかったことを覚えています。博士の研究室を紹介する動画を見つけたので、ぜひチェックしてみてください。

インタビューでは、博士の生い立ちから現在に至るまでの軌跡や、アメリカの大学での専攻選び、競争の激しいサイエンス分野でのモチベーションの保ち方、そしてチャンスを最大限に活かす方法についてお話しを伺いました。

バンスコタ博士の略歴

インタビューに入る前に、簡単に博士の略歴について触れたいと思います。

バンスコタ博士の物語は、ネパールのカトリック系ミッションスクールでの学びから始まります。その後、インドで国際バカロレア(IB)プログラムを修了し、ペンシルベニア州立大学で学士号を取得。大学院はデューク大学に進学し、アシュトシュ・チルコティ博士(Dr. Ashutosh Chilkoti)の指導のもと、バイオメディカルエンジニアリング専攻で博士号を取得されました。博士号取得後には、MIT・ハーバード大学ブロード研究所で、デビッド・リウ博士(Dr. David Liu)のラボで研究をされ、現在はボストン大学で研究室を主宰されています。

バンスコタ博士とのQ&A

バイオメディカルエンジニアリングを専攻した理由は何ですか?

バンスコタ博士 バイオメディカルエンジニアリングを専攻した理由は、医療に直接影響を与える技術を開発できる無限の可能性に惹かれたためです。MRI装置の設計や義肢の作成、ワクチンの開発など、バイオメディカルエンジニアリングは、サイエンスへの情熱と現実世界の問題解決への意欲を結びつける学問だと感じました。

大学でのどういった経験が、その後キャリア形成において大きな影響を与えましたか?

バンスコタ博士 最終学年にオーストラリアの癌生物学研究室で研究する機会がありました。卒業に必要な単位を3年間でほぼ取り終えていたので、4年目は学士論文(優等)のためのフルタイムの研究に専念できました。この時の経験はそれまでのエンジニアリングの研究とは異なり、生物学の基礎研究が中心でしたが、このときに研究への関心が高まり、その後、大学院に進みました

大学での専攻を選ぶ上で、何が重要でしょう?

バンスコタ博士 大学の専攻によって、将来の道筋が一つに決まるわけではありません。専攻がまだ決まっていない場合、数学や統計、コンピュータサイエンスのような汎用性の高いものを選ぶというのも、一つの方法だと思います。こうしたスキルは、多くの分野で役立ちます。また、サイエンスと人文科学の両方に興味がある場合には、ダブルメジャーやマイナーを活用することもできます。

競争が熾烈なサイエンスの研究分野でモチベーションを保つ秘訣は何ですか?

バンスコタ博士 研究職は、誰も見つけたことのない発見に取り組み、それがいつか人々の生活を変えるかもしれないという点で特権的な仕事だと思いますが、私は科学的発見だけでなく、人材育成にも取り組んでいます。人材育成の成果を目の当たりにすることが、この旅路を価値あるものにしていると感じています。

際立つ博士のマインドセット

バンスコタ博士とお話して、博士の取り組みには、ある種の一貫性があると感じました。それらは、

  • 型にはまらない発想―大胆な研究課題への挑戦など、未知の領域を恐れない姿勢が徹底していると感じました。
  • 手にしたチャンスを大切にする―縁あって手にした新たな環境や挑戦に対して、常に前向きに受けとめ、取り組む姿勢があると感じました。
  • 得たチャンスには全力で取り組む―いずれの時も、博士は最善を尽くしており、そうした姿勢が、結果的には師からの信頼獲得へとつながり、良好な師弟関係の構築へとつながっていると感じました。

バンスコタ博士のこうしたマインドセットは、僕たちが大学でのコースワークについて尋ねたときの回答で際立っていたと思います。以下は、博士はコメントです。

「自分に挑戦するという姿勢がなければ、人生はつまらないものになるでしょう。大学で、何のクラスを取るかを考えるときも、自分にとって挑戦となるクラスを選ぶべきです。一学期という長い時間を費やすわけですから、その時間が価値あるものになるようにしたいですよね。自分の時間はとても貴重なものです。一瞬でも失えば、それはもう取り戻せません。だから、学びがない、あるいは楽しめない授業を取るべきではない。これが、私がずっと大切にしてきた考え方です。」

家族の影響

インタビューで特に印象に残った部分があります。インタビューの最後に、博士が影響を受けた人物について尋ねたとき、博士はお父さんとおばあさんの話をしてくれました。

博士のお父さんは医師として、紛争地域や難民支援に生涯を捧げた人物でした。また、おばあさんは、博士に「逆境を乗り越える力」と「独立心」を教えた存在だったそうです。

「誰にも頼らなくていいくらい、素晴らしい人になりなさい」と、おばあさんはよく自立することの重要性を博士に話していたそうです。

おばあさんの夢は、博士が女優やニュースキャスターとしてテレビに出ることだったそうです。なぜなら、おばあさんにとってテレビに出る存在が、成功の象徴だったからです。バンスコタ博士は結局、科学者の道を選んだわけですが、決断力や真の強さは、おばあさんから受け継いだと話されていました。

僕たちの学び

バンスコタ博士からお話を伺って、成功は才能だけからもたらされるのではなく、チャンスをつかむ力と、好奇心を持ち続けることが重要だと気づきました。困難すら飛躍の足がかりに変え、周囲の人々にインスピレーションを与え続ける博士は、イノベーションを目指し、社会に貢献したいと願うすべての人にとって模範的な存在だと思います。

博士との対話を通じて、僕たちは、未知への挑戦、困難を受け入れること、チャンスをつかむこと、そして他者に投資し、つながりを築くことが、夢を実現するためには不可欠だと感じました。

バンスコタ博士にお話を伺うことができて、僕たちはとても幸運でした。いただいたアドバイスを胸に刻み、残りの高校生活と、その先の大学生活を送っていきたいと思います。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

このブログが皆さんの未来を考えるきっかけになれば嬉しいです。

トーマス&クレイグ

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